賃貸借合意解約書

賃貸借合意解約書

当社社員の田中良明は行政書士であり、行政書士事務所を開業しております。そこで解決した不動産問題を一部ご紹介いたします。

 

 

 

老朽化によって賃貸建物を建て替えする場合、立ち退きの問題が発生します。
立ち退きを請求する場合、「正当事由」が必要になります。

 

 

正当事由とは

 

  1. 賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情
  2. 建物の賃貸借に関する従前の経過
  3. 建物の利用状況
  4. 建物の現況
  5. 財産上の給付

が必要になります。(借地借家法第27条)

 

賃借人が、契約違反(家賃滞納、無断転貸等)を行っている場合は別の話になりますが、建物老朽化による建て替えのみを理由として「正当事由」として認められるわけではありません。

 

 

立ち退き料とは
  1. 立ち退きによって賃借人が支払わなければならない移転費用の補償としての立退料は                 1.引越しに係る費用                                                 2.移転先取得のために支払いを要する費用(敷金、保証金、礼金、仲介手数料等)                                         となります               
  2. 立ち退きによって賃借人が事実上失うことになる利益の補償としての立退料                                 1.商売を行っていた人が、移転により立地条件が悪化し、得意先等を失うことに対する補償、いわゆる営業権の補償(休業補償、減収分の補償等)                                                      2.移転先が従前の建物に比べて日照、駅からの距離等で劣っている場合に補償される、いわゆる居住権の補償
  3. 立ち退きにより消滅する利用権の補償としての立退料                                              ※賃借人が、借地または借家を利用することができる権利、すなわち借地権、借家権が消滅したことに対する補償        (例)従前の賃料から移転先において増加した賃料差額(賃料差額に保証月数を乗じた額)

があります。立ち退き料は、賃貸人・賃借人双方の事情、土地や建物の事情(経過年数、老朽度等)を考慮し総合的に判断しますので、個々により事情が違い、ケース・バイ・ケースになります。

 

 

普通借家契約の場合

普通借家契約の場合、賃貸人が期間満了により賃貸借契約を終了させるためには、賃借人に対し、期間満了の1年前から6ヶ月前までの間、更新拒絶の通知を行わなければなりません。(借地借家法第26条第1項)

 

期間の定めのない賃貸借契約

期間の定めのない賃貸借契約の場合、賃貸人は、賃借人に対し、6か月前までに解約の申入れを行わなければなりません。(借地借家法第27条第1項)

 

賃貸人から契約を終了させるには

また、賃貸人から契約を終了させるためには、更新拒絶等の通知を行っても、契約期間が満了したときに、
更新を拒絶するやむを得ない事情=(正当事由)がなければ、することはできません(借地借家法第28条)。
したがって、賃貸人から契約を終了させようとする場合には、賃借人に対し、

 

  1. 更新拒絶の通知 +
  2. 更新拒絶するやむを得ない事情(正当事由)

 

が必要です。
なお、賃貸人が更新拒絶の通知を行い、契約期間が満了したとしても、引き続き賃借人が当該建物に住み続けている場合、賃貸人は、賃借人に対して、すぐに異議を述べなければ、賃貸借契約は更新されたものとみなされます。(借地借家法第26条第2項、第27条第2項)